宮古の青い海(宮古島旅行記その3)

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最北端を目指す

 午前8:00出発。夜のうちに雨が降ったようで、地面には水たまりができている。天気予報は雨だが今のところ雲は少ない。予定通り北端の池間島へ向かうことにする。距離にして18km。2〜3時間あれば着くだろう。目的地までの道順は簡単で、83号線から230号線へ出て、あとはずっとまっすぐである。バカンス2日目、心は軽い。颯爽と走り出す。

1時間ほど走り海が見えてくる。大浦湾だ。気がつけば、雲はほとんどなくなり晴れていた。雨具まで用意して覚悟していたのに嬉しい誤算である。さらに進み230号線に入ると、周囲は畑ばかりになり海は見えなくなった。ひたすら普通の田舎道である。交通量は一気に減り、信号のない広い道路はとても走りやすい。ロードレーサーの集団が何組も抜いていったことから、おそらくサイクリストには知られたルートなのだろう。
 後で分かったのだが、宮古島ではトライアスロンが開催されており、日本で一二を争う人気の大会のようだ。そして、今走っているのがまさにそのコースである。知らずに贅沢なサイクリングをしていた。変わらない景色の中ゆったりと走り続けることさらに1時間、いよいよ宮古島の端が見えてきた。一気に景色が開け、海が見える。青い。美しい。言葉が出ない。

 池間大橋の手前に広場があり、そこでしばらく海を眺めることにする。昨日、曇りの夕方に見た海とは色がまるで違う。これが宮古の海か。自然界の出す色とは思えないほど鮮やかな青色をしている。さらに、光線や水深の関係だろうか、場所によってその色は様々に変化している。コバルトブルー、エメラルドグリーン、ターコイズブルー。様々な美しい青色で満たされている。青好きの私にはたまらない景色だ。その透明度も恐ろしく、当たり前に底が透けている。ひときわ鮮やかな浅瀬のエメラルドグリーンは、真っ白な砂のキャンバスのおかげだ。

 満を辞して池間大橋を渡る。全長1425mの橋には、景色を遮るものはなく、美しい海の中を走り抜ける。出発から約2時間、ここまで田舎道を黙々と走り続け、そこから突然この絶景である。達成感とともに、宮古の海を堪能しながら自転車を走らせる。苦労して自転車で来てよかった。

第3の島『池間島』

 橋を渡るとすぐに、駐車場と数店の土産屋があった。その中でも目を引く褪せたピンク色の古い建物のお店がある。その名は「海美来(かいみーる)」である。土産屋と食堂を兼ねているようだ。正面に貼られた「千原ジュニアが宮古そばで一番美味しかった店として行きついた」という看板が目を引く。ここで早めの昼食を取ることにする。
 店内でお母さんに注文すると、ダシが取れていないのであと30分かかるとのこと。ここで、開店後にもかかわらず準備ができていないことへ不満を持つべきではない。ここは宮古島である。こちらの都合で東京の感覚を持ち込んではいけない。取れていないものはしょうがない。30分待てば良いだけである。

 ダシが取れるまで時間があるので、先に島を一周して来ることにする。池間島の大半は森と畑である。島の北側には灯台があるが、特筆すべきものではなさそうだ。走っていても特に面白いものは出てこないが、残念な気持ちになるかと言うと、そんなことはない。実は2日目のこの辺りから、宮古の「何もなさ」に心地よさを感じ始めていた。何もない、それが心地良い。

 寄り道しながら40分で島を一周。海美来へ戻ってきた。ちゃんとダシは取れていた。早速、宮古そばを注文。ほどなく念願の宮古そばが運ばれてきた。肉が3つとかまぼこが2つ、青ネギと紅生姜のコントラスト。思い描いた通りの姿に嬉しくなる。早速食べる。見た目だけでなく味も期待通り、いや、期待以上に美味しいぞ。千原ジュニアは正しい。

 建物の脇からビーチへ出られるようだ。食後のアイスクリームを買い、石の階段を降りてみる。木々の間を抜けると、その先にはまたも絶景が広がる。太陽が高くなったおかげか、海はさっきよりもさらに青く美しく、透き通って見える。潮の流れだろうか、砂浜には珊瑚や貝殻が散りばめられている。この白浜は天然の白さなのだろう。しばらくエメラルドグリーンの海を眺めていると、目の前を漁船が通り過ぎて行く。洒落たクルーザーではなく漁船である。このミスマッチの組み合わせが面白くてにやける。美しい自然と人々の生活が調和するこの景色こそ宮古の風景なのだと思う。

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その4へ続く