ツール・ド・宮古(宮古島旅行記その4)

その1はこちら

島サイクリング術

 宮古島2日目、時刻は正午。まだまだ時間はある。空を見ると少しずつ雲が出てきている。本日も海に沈む夕日は望めなさそうである。夕日の名所である下地島の17エンドは翌日に行くことにして、残りの時間で島の反対側にある東平安名崎(ひがしへんなざき)を目指すことにする。

 ルートとしては、途中まで来た道の230号線を戻り、途中の分岐で83号線に入る。あとは島の北側の海岸線を走破すれば、宮古島の最東端の東平安名崎に到着する。そこは国から史跡名勝天然記念物の指定を受ける、宮古を代表する観光地であるそうだ。距離にして36km。3〜4時間はかかるだろう。相変わらず日没までに戻る気はない。

 変わらない景色の中を走り続けること1時間。230号線に出たあとも海はほとんど見えない。海岸までの少し距離があるようだ。サトウキビ畑の中を自転車でひた走る。じわじわと足に疲労感が溜まり息が切れる。実は昨日から感じていたのだが、走行時間の割にいつも以上に疲れる気がする。この辺りでなんとなくその答えがわかった。

 島の道は基本的に平坦な場所がなく、常に登っているか下っているかのどちらかである。見た目には平らに見えていても実は微妙に登っていたりする。その変化に気がつかず、ペースを落とさないで走っているため息が切れてしまうのだろう。当然、登った分下るのだが、勢いよく全力で下ってしまっていた。なるほど、自転車は関東平野でこそ便利な移動手段なのだが、島とは相性が悪いようだ。どうりで島民の人は自転車に乗ってないわけである。

 とはいえ、もう自転車で来てしまっているので乗り方を変えて対処するしかない。宮古島で編み出した島サイクル術を書き記しておく。この方法を駆使し、最東端を目指す。

  • ペースではなく、ペダルの回転数を一定にする。
  • 登りでは脚の負荷を減らすために積極的にギアダウン。
  • 下りはこがない。呼吸を整え、脚を休ませる。

目指せ東平安名崎

 池間島を出発して1時間半。ここまでで、やっと道のりの半分ほどだ。道路脇に、ひっそりと公園があったので休憩を取ることにする。「宮原第2水辺公園」には駐車場、トイレ、屋根付きのテーブルとベンチがあり海の眺望も良い。その割にほとんど人がいないため、休憩には最適の場所だ。雲が多くなり、陽も落ちてきたので、海は池間島で見たほど鮮やかでなくなってしまっているのが残念だ。柵の脇に海岸へ降りられる階段があるが、時期の問題なのか立ち入れなくなっている。誰もいないことをいいことに、持ってきたフォームマットを敷いて横たわる。そよ風が心地よい。居心地がよく30分ほどゴロゴロする。

 疲労が回復したところで再スタート。ここからは、海が少し近くなり、木々の向こうに青い海が見えるようになってきた。しかしながら、景色は相変わらず単調である。サトウキビ畑と林の間を、海を遠くに見ながらゆっくり走り続ける。

 さらに1時間半、いよいよ東平安名崎の入り口に到着。この先は公園になっているようだ。先端にある灯台目指しウイニングランである。ここから急に景色が開け、見渡す限りの自然風景になる。舗装された綺麗な道路以外は、木々と海だけだ。決して大きくはない島にいるのだが、雄大な自然を感じる。脇の海岸を見ると、海の中に大きな岩がゴロゴロとしている。なんと、江戸時代の大津波で打ち上げられたものらしい。巨大な岩が海面に浮いているように見える。他ではなかなか見られない面白い光景だ。

 10分で灯台へ到着。手前には駐車場、トイレ、広場などがあり、公園としてよく整備されている。脇には保良(ぼら)漁港という小さな港がある。せっかくなので灯台に登ってみる。上からは一面の海と、ここまで走ってきた宮古島を眺めることができる。高いところから見ると、宮古島が木々に覆われていることがわかる。市街地からは離れているが、宮古島に来たらここからの景色を眺めることをおすすめする。部分的にはリゾート開発が行われていたとしても、全体としては宮古が自然に覆われた島であることを実感できる。
保良漁港へ降りてコーヒーを飲みながら一休みする。

フロ、メシ、寝る

 時間は17:00、帰路につく。帰りのルートは島の中央を通り抜ける390号線と78号線である。途中の道沿いには食堂と温泉があるという無駄のないルートだ。特に温泉は、宮古島には2ヶ所しかなく貴重な存在だ。

 陽が傾く中走ること1時間で目的の食堂に到着。なんと準備中の札がかかっている。グーグルマップでは17時開店となっていたはずだ。すでに18時を過ぎている。おそるおそる入り口を開け中をのぞく。
 中にいた店主らしき男性に確認したところ、本日は18:30頃から営業を開始するとのことである。ここは宮古、これがウチナータイムか。しかし、ネットの情報通りに営業していると思うこちらも悪い。実際、看板には営業時間は書かれていない。利用者の誰かがグーグルマップに追加した情報なのだろう。(ちなみに、後日確認したら営業時間の情報は削除されていた)
とはいえ、ここで30分待つのはもったいないので、諦めて他の店に行くことにする。

 その後は街道沿いに食堂は見当たらず、先に温泉に着いてしまった。東平安名崎から1時間半、宮古島の中央部に位置する「宮古島温泉」に到着。ジャグジー、サウナと水風呂(なぜか常温)、打たせ湯、休憩スペースなどスーパー銭湯に近い設備が整っていて、予想を超えて快適だった。サイクリングで疲労した体で浸かる温泉は最高だ。

 さっぱりして温泉を後にすると、外はすでに真っ暗である。温泉の横にはホテルがあり、その脇の建物には「味の店どんどん」というのれんがかかっている。居酒屋兼食堂のようである。この先に営業しているお店があるかわからないので、ここで晩御飯にする。地元の人が集まる店のようで入るのに少し躊躇したが、入ってしまえば快適である。メニューを見て注文すると、「煮物は無いさぁ」とのこと。郷に入っては郷に従え。ないのだからあるものを食べれば良いのだ。品切れで謝罪する東京の方がおかしい気さえしてきた。ゴーヤチャンプルー定食(750円)を注文。苦味が少なく食べやすい。小皿の何らかのお刺身が旨い。

 お腹も満たされ、宿へ向け再度出発。道中、安全運転を呼びかけるヒゲの警察官の人形が道路脇に立っていた。そういえば、初日にも空港の近くで見た気がする。この時はまだ彼らが宮古島のアイドルであるとは知る由もなかった。そしてこの出会いが旅の最終日へと繋がるのだが、それはまた後ほど。
ドン・キホーテで買い物をしてから21:30に帰宅。本日もよく遊んだ。明日は伊良部島と下地島を目指す。

その5に続く